はじめまして
諏訪の杜整形外科で鍼灸治療を担当します鍼灸師の渡邊悠紀です。
現在千葉大学医学部の博士課程で研究を行いながら、 複数の病院内で鍼灸治療を担当しています。
鍼灸治療は子供から高齢者まで、 その人の体質や症状に合わせて行えます。
これまでの経験と、東洋医学・ 西洋医学の知識を生かして鍼灸を行わせて頂きます。
これから鍼灸に関する記事をブログに投稿していきますのでよろしくお願いいたします。
本日は膝の痛みに関しての記事です。
運動器シリーズ①変形性膝関節症を知ろう
日本では60歳以上の方の80% に何らかの関節の変形があると言われています1)。
有名な病気であればリウマチや変形性股関節/膝関節症など、 もしかしたら聞いたことがあるかもしれません。
特に患者数が多いと言われているのが、『変形性膝関節症』通称「 膝OA」です。
膝OAの患者さんは痛みや関節の硬さなど自覚症状がある患者さん は約800万人、自覚症状はないけれど、 レントゲンなどで変形があると認められる人だと約2500万人の 患者さんがいるとされています2)。
40歳以上で膝OAがある患者さんは55%(2人に1人) 程いると考えられています2)。
痛みがない場合であっても、膝OAをそのままにしておくと、 変形が無い患者よりも死亡リスクが高まることが報告されています 3)。
医学的には、年齢、女性、肥満、過去に膝に対する怪我、 膝に負担がかかる職業などがリスクとして挙げられており、 運動不足や生活習慣病なども影響します2)。
膝OAに関しては、痛みや違和感があるだけでなく、 過去に膝を怪我していたり、膝に負担をかけていると思う場合は、 一度整形外科の受診がおすすめです。
これ以上変形や痛みを悪化させないために、 以下のようなものがあります。
1,適正体重を維持
(BMIを18.5~25の普通体重を目指す。)
膝に対して、片足立ちで体重の2.59倍、歩行で2.61倍、 階段ののぼり3.16倍、くだりで3. 46倍の負荷が膝にかかります。
BMIが5上がると、膝OAのリスクが35%上昇します4)
2,運動療法
膝の痛みが強い人の場合は、医師や理学療法士( リハビリを行う専門家)から指導を受けましょう。
自分でもできるセルフケアもありますので、 そういったものを調べても良いと思います。( 変形性ひざ関節症の人を対象にした運動プログラム(厚生労働省) 5))
3,物理療法
電気を用いた治療や、 超音波などは膝OAに有効と考えられています2)
整形外科で保険を使用して受けることもできますので、 薬や他の治療と併用することで効果を期待できます。
また、運動時をする場合は、膝に負荷がかからないように、 杖やサポーターなどを適切
に使用しましょう。湿布薬や痛み止めは、 膝の痛みを減らしてくれますが、膝の変形が治
る訳ではないので注意しましょう。
現在の日本人の平均寿命は男性81.47年、女性87. 57年となり6)、自分の身体を80年以
上使います。高齢になっても自分の行きたい場所に出かけたり、 健康に生活するためにも
、膝を大切にしましょう。
次回は膝痛に対する鍼灸治療の世界での研究を紹介します。
1.公益社団法人長寿科学振興財団健康長寿ネットより(http s://www.tyojyu.or.jp/net/ byouki/henkeiseikansetsushou/ about.html)
2.2023変形性膝関節症診断ガイドライン
3. Wang Y, et al. Arthritis Care Res (Hoboken). 2020;73(4):566-73.
4.肥満症診療ガイドライン2022
5. 変形性ひざ関節症の人を対象にした運動プログラム
6.厚生労働省令和3年簡易生命表
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